アーモンド~キミとの物語~
「分かったら二度と近付かないで」
「いやです」
「は?」
千咲はハッキリと断る
楓が秋斗に近付くなと何故言ったのかなんとなく気づいた
女の勘というやつだろう
"楓が秋斗が好き"ということを
「真嶋先輩……秋斗先輩が好きなんですか?」
「だったら?」
「え…」
千咲の質問にキッパリと答える
楓と秋斗は中学時代からの同級生
「私はずっと志麻くんが好き。ただ憧れだけで仲良くしてもらってるあなたとは違うのよ。なのに…」
ギリッと唇を噛み締める
楓はずっと秋斗に片想いをしていた
この文化祭で告白をしようと思っていた
だがここ数ヶ月の間で千咲たちと仲良くなりつるむようになったことを知った楓はそれが気に食わなかった
自分に見せない笑顔を千咲に向けていることを
「ま…」
「だからハッキリ言うわよ。あなたが邪魔なのよ」
「………」
返す言葉が無く黙る千咲
楓にとっては自分が邪魔な存在なのがよく分かったし中学時代同じ経験をしたからだ
(真嶋先輩が秋斗先輩を好き…)
"好き"という言葉にどうにも口が動かない
楓はこんなにも秋斗にハッキリとした想いがあるのに自分はなにをやっているんだ、と
「悪いけど私は文化祭が終わったら告白するつもりだから。自分の気持ちもハッキリしないあなたが居ると志麻くんだって迷惑だからさっさと離れてよね」