アーモンド~キミとの物語~
そう言って楓は去っていく
「………」
千咲は呆然と立ち尽くした
"ただ憧れだけで仲良くしてもらってるあなたとは違うのよ"
楓のその言葉が離れない
(ただの憧れ…)
千咲は楓からそう告げられる前からずっとモヤモヤした気持ちがあった
ただの憧れ、最初はそんな気持ちだった
仲良くなって友だちになりたかった
そんな気持ちとは裏腹にいつの間にか秋斗を目で追っていた
この数ヶ月間いろんな秋斗を知ったり不意にドキドキしたり何度も助けてもらったり……
「私…もしかして…」
そして気付いた気持ちが"秋斗が好き"
「でも秋斗先輩にとって私はやっぱり迷惑なのかな?真嶋先輩みたいに綺麗な人がいいのかな…」
楓に秋斗に近くなと言われてどうしていいか分からなかった
愛未や創汰に相談すべきなんだろうが巻き込みたくなかった
(ほのか先輩に言うべき…?)
ぐるぐると考えがまとまらない
立ち尽くしていると創汰の声が飛んできた
「ちぃ?」
その声にハッとした
創汰は千咲を探しにきたのか息を上がっていた
そして心配そうにしていた
「創汰?なんで…」
「お前がいつまで経っても戻ってこねぇ…ってなんかあったのか?」
「え…と、なにも…」
咄嗟に目を逸らしてしまう
創汰は何かを察したがなにも聞かない
(私さえ秋斗先輩を避ければいい話なんだから巻き込みたくない…)