アーモンド~キミとの物語~
*
それからというもの千咲はなるべく秋斗を避けた
自分から近づくこともなく秋斗の姿を見れば隠れるようにしていた
「………」
その様子は創汰も愛未もほのかも気付いていた
「ねぇ、千咲ちゃん最近どうしたの?なんか秋斗を避けてるっていうか…」
「本人は何でもないって言うんですよねぇ。宇佐美くんなんか知らない?」
「………」
愛未に質問に黙る
黙るというよりは何かを考えているようで聞こえていなかった
「う・さ・み・く・ん!」
「あ、あぁ…」
愛未の声にハッとする
ほのかも愛未も創汰の様子がおかしいことくらい分かっていた
秋斗も自分も避けられているのは気付いているがその裏で千咲が楓に脅されていることは誰も知らないままだ
ーーーそんな千咲は一人で屋上にいた
「はぁ…」
そして壮大なため息をつく
「私なにしてんだろ…。秋斗先輩を避けてみんな絶対怪しんでるよね…」
ちゃんと説明すれば良かったと後悔をした
避けるようなマネをして余計心配かけて迷惑まで掛けてる自分が情けなかった
だけど楓が怖くてどうしようもなかった
"私は志麻くんが好きなの。ただ憧れているあなたとは違うのよ"
その言葉を思い出す度に胸がチクリとする
モヤモヤした気持ちが消えなかった