アーモンド~キミとの物語~


壁に寄り掛かりながら待っていた人物に杏は誰なのか気付いた
「あっ」と小さく呟く

「どうしたの?」

「ううん!じゃあ、明日ね!」

「うん!」

たたたっ、と玄関から出ていく
千咲も靴を履き替えて玄関から出ると「千咲ちゃん」と声を掛けられる

聞き覚えのある声に振り向くと秋斗がいた

「秋斗先輩?あれ、先に帰ったんじゃ…」

「あー…ちょっとね」

「……?」

先に帰ったはずの秋斗がまだ学校に残っていたとは知らなかった
愛未、創汰、ほのかはさっさと帰ってしまった

歯切れの悪い秋斗に千咲が不思議に思う

「また、真嶋がなんかして来ないか心配で…なんてね」

「秋斗先輩…」

あれから楓の嫌がらせは無いが良く思ってないのは事実だ
また何かされるんじゃないかと心配していた

忘れ物をしたフリをして千咲を待っていた
教室まで行ったが杏と話し込んでいる姿があっため外で待っていたのだ

「帰ろっか」

「はい」

9月と言っても8月と違って次第に暗くなるのが早くなる
まだ夕日が出ていたため外は明るい

「……あの、一つ聞いてもいいですか?」

「ん?」

「どうしてうちのクラスに来たんですか?」

ぷくぅ、とちょっと拗ねた感じで言う
見られたく無かったのに、呟きながらプイッとそっぽ向く

(可愛いなぁ…)

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