アーモンド~キミとの物語~


「わっ、私も一緒に花火見たくて!でも片付けとか忙しいかなって…」

勢い良く言ったものの最後はだんだん声が小さくなる
一生懸命に何を言いたいか秋斗にはちゃんと伝わっていた

そんな姿が可愛くてついクスッとしてしまう

「じゃあ、移動しよっか」

「はい!」

「あ、その前に目瞑ってくれる?」

「え、目?」

なんで目瞑る必要があるんだろと不安があるが秋斗の言う通りに目を閉じる
すると手に何か当たる

(あれ?この感触って…)

どこかで知っている感触だ
それは以前夏祭りにも同じことがあった
……それは秋斗の手だった

そしてそのまま手を繋がれる

「……っ!?」

「ちょっとだけ我慢してね。ちゃんと良いところに連れて行くからさ」

「はい…」

(……どこ行くんだろ?それにしても秋斗先輩の手おっきぃな)

そんなことを思いながらぎゅっと手を繋ぎ返す

「…………!」

握り返された手を見て秋斗は小さく微笑む
自分を信じてくれるんだ、と思いながら

秋斗の声でケガがないように階段を降りたり扉を開ける音だけが千咲の耳に届く

(ほんとに何処に行くの?)

さすがに不安を隠せないため秋斗に声を掛けようとした瞬間フワッと風に乗り何かの匂いが鼻につく

「あれ?この匂い…」

「あ、気付いた?じゃあ目開けてごらん」

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