アーモンド~キミとの物語~




待ちに待った今週末
リニューアルオープンする《ミナミアイランド》開館日だ

日曜日とあって子供連れの家族やカップルがたくさんだ

そんな中、入り口の前でポツン一人立つ千咲

「……まだかな?」

そう呟くと「千咲ちゃん!」と聞き覚えのある声に振り向く
そこには今日一緒に遊園地を回る相手が居たからだ

「秋斗先輩!」

「お待たせ」

「い、いえ…」

(ありがとう、創汰)

心の中で創汰に感謝する

ーーーそれは数日前
千咲と創汰が日直だった日のことだ

千咲が咲良からもらった遊園地チケット
誰と行くか悩んだ末、創汰を誘ったが用があると断られた

そこで創汰はニヤリとしてある提案をした




《秋斗先輩誘ってやったら?》

《な、なんで秋斗先輩?》

《今週末の日曜日、秋斗先輩誕生日なんだよ》

《ええっ!?》

創汰の発言にびっくりする千咲
すると創汰は「え、知らなかったのか?」というとコクンと大きく頷く

10月16日は秋斗の誕生日だ
その日はちょうど日曜日で遊園地がリニューアルオープンする日と重なる

《ってことで、秋斗先輩誘って行けよ。あと誕生日プレゼントも用意してさ》

《……なんでそこまで》

《オレは千咲が楽しいと思える思い出作って欲しいんだよ》

最後の言葉がどういう意味か分からなかった
そして今に至る




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