アーモンド~キミとの物語~
「お願い?」
きょとん、として首を傾げる
せっかくの誕生日だしお願いくらいは良いかなと考えていた
自分があげた羽の形をした髪留めもして来てくれた嬉しさがあった
「敬語、外して欲しいかな」
「敬語…ですか?え、でも…」
先輩だし、と言おうした時にちょんと人差し指が千咲の唇に当てる
「オレたち友だちだろ?それに先輩だろうがなんだろうがせっかく仲良くなれたから敬語辞めて欲しいなって」
(先輩…近いし、そう言われると断れないよ)
秋斗の仕草にドキドキする
多分敬語辞めると言うまで唇から手が離さないだろうと思い、返事の代わりに頷く
すると指が離され再び「行こっか」と良い千咲の手を引き歩き出す
千咲も嫌な気分じゃなかった
「秋斗先輩、どこから回る?新しく出来た場所も増えまし…増えたよ」
「んー、そうだな」
いきなりタメ語は慣れないため時々敬語になりがちになる
必死にタメ語で話そうとする千咲がいつしか愛おしいと思っている自分がいると自覚した秋斗
(ああ…そっか。オレ、この子が…)
好きなんだと気付いた
いつも気が付けば目で追っていて創汰と話す姿を見かけるとなんとも言えない気持ちを抱いている、と秋斗は心からそう思った
「……先輩?」
「ん?なんでもないよ」