アーモンド~キミとの物語~



それから一時間ほどして打ち合わせが終わるとちょうどお昼前になっていた

打ち合わせの間、千咲は手持ち無沙汰のため雨音に頼みお手伝いをしていた
書類整理やらデザインの描いたラフ画の溜まり絵のノートなど種類別に分けていた

「お客さんなのに手伝ってもらってごめんね、千咲ちゃん」

「大丈夫ですよ。お姉ちゃんが打ち合わせしてる間どうしようか悩んでいたので」

「ねぇ、千咲ちゃん。夏に頼んでたデザインって誰かを想って描いたの?」

「へ?」

雨音がいきなり何を言い出しかと思いキョトンとする千咲
夏休みに描いてたラフ画を思い出していた

あの時、ペアのものを描くというものだった

その時は秋斗と公園でその事について話していたことを思い出していた

(秋斗先輩…)

「もしかして聞いちゃいけなかった?」

「い、いえ!……私もあの時は好きな人のこと考えて描いたんです。冬休みに入ってから全然連絡取れなくて…」

「そっか。千咲ちゃんなら大丈夫よ」

ねっ?と言うと優しく頭を撫でる
そんな二人の会話を陰からこっそり聞いていた咲良

咲良は千咲が秋斗が好きということも、秋斗が千咲を気にしていることも気付いていた

あえて何も言わないのは千咲が自分で乗り越えるべきだと判断しているからだ

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