アーモンド~キミとの物語~
秋斗は靴があるなら校内のどこかに居ると思い探し回る
先に向かったのは二年生の教室だ
靴もあるならきっとカバンもあるて察し教室いくとやはりカバンが残っていた
たまたまなにかの用事で残っていたクラスの子に話し掛ける
「ごめん、キミたち。千咲ちゃんとクラスメートの子たちだよね?」
「はい、そうですよ?」
「千咲ちゃんどこにいるか知らない?」
「萩原さん?」
うーん、と悩むと日直らしき女子生徒がその会話を聞いていたのか口を開く
「千咲ならさっきタローに教材戻すように言われてましたよ」
「タロー?……ああ、あの先生か」
タローこと奥谷汰郎(おくやたろう)
二年生の理科の担当の教師だ
みんなからはタローと呼ばれている
30代前半で有名大学を卒業したと言われる
ちょっと意地悪だが説明も上手くいい意味で評判は良かったりする
「あ、そういえばそうね」
「でもタローに教材戻すように言われたの一時間くらい前じゃない?いくらなんでも遅くない?」
「確かに…」
教材を戻すように言われたのが一時間くらいなのになかなか戻ってこない千咲をクラスの子たちもさすがに不思議に思っていた
しかもこの寒さの中、資料室にいれば数分居るのが限界だ
(……確かにいくらなんでも遅すぎる)