アーモンド~キミとの物語~
「……ほんとに卒業しちゃうんだぁ」
外に出た千咲はぼんやりと桜を眺めていた
お昼過ぎの程よい暖かい陽気
そして周りは卒業生たちが在校生や同級生たちと最後の別れを惜しみながら写真を撮ったりお喋りをしたり…
「ちぃ」
「創汰…」
名前を呼ばれると創汰がいた
秋斗たち卒業生たちはこれから様々な道を歩む
進路が決まっており大学へ進む者、地元に残り就職をしたり県外へ出る者
十人十色の人生がこれから始まるのだ
「向こうでみんなで写真撮ろうってさ」
「うん、わかった。じゃあ行こっか」
二人のいる場所にいくと同級生たちと写真を撮り終わりやっと落ち着いたところだ
そして、ふと制服のボタンはほとんど無くなっていた
好きな第二ボタンを貰うのが定番だが見事に二人の制服の上着のほとんどボタンが無いのだ
千咲はそれを見て早くもらえばよかったと後悔する
「先輩たち制服のボタン…」
「ほとんど無くなっちゃった」
「オレも…」
愛未が唖然とした様子で問い掛けると苦笑いしながら答える
学校一人気の二人
卒業式が終わると後輩たちが写真を撮りたいとせがまれたり、ボタンが欲しいと言われたり散々だった
(もう…だれかにボタンあげちゃったのかな?)