アーモンド~キミとの物語~
「宇佐美くんがいるなら私は必要ないわ。じゃ、また明日学校でね」
クスッと笑うとその場をあとにして再び歩き出す
その姿を創汰はじっと見つめていた
自分が千咲を迎えに来たことをまるで見透かしていたかのように去っていく
(必要ないって…。もしかして創汰…)
「ちぃ、帰るぞ」
「あ、うん…」
創汰は入れという風に傘を差し出すと少し大きい傘に二人で入り歩き出す
するとぽそっと創汰が何かを言い出す
「傘…今日持って行かなかっただろ?」
「あ、うん。なんでそれを?」
「咲良姉から連絡あったんだよ」
「お姉ちゃんから?」
「ああ」
*
それは一時間くらい前のこと
千咲が今日バイトだと言うことは創汰も知っていた
だが今朝傘を持ってなかったことまで気付かず学校から帰宅しのんびりしていると咲良から連絡が入った
「ん?咲良姉?」
画面を確認すると咲良からーーー
“あの子今日傘持って行かなかったから代わりに迎えに行ってくれない?時間あったら私が迎えに行く予定なんだけどまだ時間掛かるから。じゃ、よろしくね☆ ”
と、書かれていた
それを千咲にも見せると「……なるほどね」と納得する