アーモンド~キミとの物語~
「ああ、お疲れ様千咲ちゃん」
「初日からバタバタですけど大丈夫でしたか?」
心配そうに言うと秋斗は苦笑いしながら頬をポリポリ掻きながら答える
「バイト経験全然ないからやっぱり大変だなぁって。アイツや千咲ちゃん良くやってると思うよ」
「…最初は誰でもそうですよ。でも…」
「……でも?」
(なんか秋斗先輩とこうしてお仕事するのも悪くないかも…。なんて口に出して言えないけど)
心の中ではそう思っていても口に出せずにいる
千咲にとっては憧れの存在
勉強も運動も出来て人気があって何でも出来る先輩
学校のみんなもそう思っている
だけど千咲はまだ自分の気持ちが“憧れ ”から“好き ”へと変わっていくことに気付くはずもなかった
「……千咲ちゃん?」
秋斗の声でハッとして慌てて応える
「でもここの人たちすごく優しいですし常連客の方たちも優しくて暖かい人ばかりなので秋斗先輩なら大丈夫ですよ!」
ニコッとしながら言うと秋斗はちょっとびっくりしたが千咲の笑顔につられてニコッと笑い「ありがとう」とお礼を言う
そんな会話をしていると秋斗の足元にスルッとなにかの感触が当たる