(仮)マジックキャンディ
「おーい。何してんの?」
道端で邪魔なんだけど。と、後ろから声がした。
ぼーっとしていると目の前に男の子が立っていた。
何年生なんだろ?
「アンタ大丈夫?膝から血が出てる」
そういえば膝から血が出てたっけ。と、改めて膝を見た。
なんだこれ、結構酷いな。
「………だい、じょう、ぶ、です…」
「そか。あとで手当てしような」
その人はニカっと笑い私の頭を優しく撫で、くるりと背を向けた。
「お前さ、女の子に酷いことして楽しいの?」
「お!俺は別に…」
「俺だったら好きな子の気を引きたかったらまず楽しませるけどな」
「うるさい!アンタに関係ないだろ!!」
「女の子ケガさせといて何言ってんだよ!そんなことして好きになってもらえるわけないだろ!お前がしたことは一生残るかもしれないんだ」
「うるせーよ!」
「謝れよ」
「うるせー」
「謝れ」
さすがに自分より年上の男子から強く言われたのかからかってきた男の子は渋々謝ってきた。
「小鳥遊…その、ごめん、な」
「あ、え、と、うん。大丈夫だよ」
「本当に、ごめんな。もう、しないから」
「うん、わかった。じゃあ、今日から友達だね」
「お!おう。友達」
「よしっ。よかったな。じゃあ、お前もー帰れ。俺はコイツのケガの手当てしに行くから」
「俺が悪いから俺が保健室連れて行く」
「いーから。お前の友達にもちゃんと謝るように言わなきゃ、だろ?」
「…わかった。じゃあ、小鳥遊。また、明日」
「うん、また明日ね」
男の子は帰って行き、私と高学年の男の子と2人きりになった。
「さて、と、大丈夫か?立てるか?よく頑張ったな」
また、優しく頭を撫でられた。
(あ、れ。急に視界が…)
一瞬で目頭が熱くなるのがわかった。
「う、ひっ、く…」
「おっ、おい。どうした?痛いか?」
「う、ううん、だい、じょう、ぶ…」
その後緊張が一気に溶けたように私は泣き出してしまった。
保健の先生を呼びに行った友達とは途中で再開しケガの手当てをしてもらっている間に助けてくれた男の子はどこかに行ってしまった。
名前も知らないしお礼も言えてないのにな…
しかし、この事が皮切りとなりちょくちょく再開するようになる。