ただいま冷徹上司を調・教・中!



翌日土曜日の朝。

私は滅多に聞かない目覚まし時計の音で目が覚めた。

耳につく派手な音に顔をしかめながら、ベッドの枕元にあるチェストの上の目覚ましを止める。

時刻は午前7時を指していた。

「もぉ……早すぎでしょ……」

もう一度布団に潜り込み、体を丸めた。

平嶋課長とのデートのために、スマホのアラームだけではなくて、しっかり目覚ましをセットしていたんだった。

スマホの電源は切ったままだったけれど、無意識に目覚ましだけはセットしたのだろう。

今日のデートはキャンセルされたっていうのに。

平嶋課長の迎えは10時だった。

その前に念入りに前準備をしたくて、早めに起きようと思っていたんだ。

「二度寝しよ……」

布団の中でキュッと目をつぶるけれど、一度覚めてしまった頭は覚醒するばかり。

諦めてベッドから起き上がり、顔と歯を磨いて冷蔵庫を覗いた。

買い物は明日行く予定だったので、冷蔵庫の中はほとんど空っぽ同然だ。

辛うじて残っていたもので簡単な朝ごはんを作る。

特別美味しいとも思わないが、お腹が満たされれば問題はない。

予定を前倒しして、今日は買い物と掃除でもしよう。

洗濯物を回し、ナチュラルにメイクを済ませてキッチンを片付けた。

ベランダで洗濯物を干しているとき、インターホンの音が聞こえた気がした。

最後の一枚を洗濯ピンでとめ、バタバタと部屋に入ると、今度はハッキリとインターホンが響く。

まだ9時だというのに、一体誰だろう。

「はぁい」

インターホンの受話器を取って応答すると。

「あ……俺……だけど」

ドアの前にいる人物に、私はただただ驚き言葉を失った。
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