ただいま冷徹上司を調・教・中!
いくら和宏が強引に襲ってきたにしても、こんな所を平嶋課長に見られたくはなかった。
いや、でも。
平嶋課長が来てくれなかったら、今ごろどうなっていたか。
考えるだけで恐ろしくなるのも事実だ。
ならばやはり、助けてくれたのが平嶋課長でよかったのか。
ぐるぐると頭の中で整理していると、平嶋課長の溜め息が私の耳をついた。
「まったく。誰かの怒鳴り声がすると思ったら、まさか久瀬だったとはな。驚いたよ」
髪をかきあげてネクタイを緩める仕草は、目を見張るほどの妖艶さだ。
「元彼なんだから、のこのこ着いて行ったらどういうことになるかくらい、分かりそうなものだけどな」
呆れたような口調に、私は少し苛立った。
「付き合ってた頃は、あんなに強引に自分を正当化して押し付けてくるような男じゃなかったんです」
どっちかといえば子供じみていて、すぐ私に頼るから、いつの間にか私が彼を支える母のように尽くしていたのだ。
あんな一面、見たこともない。
「そうか。別れてタガが外れるってことは、それだけ久瀬に未練があるってことなんだろうな」
「めちゃくちゃ迷惑です」
ははっ、と乾いたような笑いを漏らすと、平嶋課長は私を真っ直ぐに見た。
「やり方は間違っているが、それだけ愛されているってことなんじゃないのか?」
「本当に愛してるなら浮気なんてしません」
「他の女を見て真実に気付くこともあるかもしれない」
「他の女を見て抱いた時点で終わりです」
「それは久瀬の気持ちであって、吉澤はまだ整理ができていないだけかもしれないだろう?」
「…………」
さっきから一体なんなんだ。
平嶋課長の言い回しが妙に頭にくる。
「男と女の気持ちは同じじゃないだろう?女はスッパリと割り切るが、男は意外と女々しいもんなんだよ」
平嶋課長は和宏の復縁発言に対して、どれほど私が自分の気持ちを噛み砕いて無理だと伝えてきたかを知らない。
だから中立に立つのは仕方のないこと。
それはわかっているのだけれど。
いや、でも。
平嶋課長が来てくれなかったら、今ごろどうなっていたか。
考えるだけで恐ろしくなるのも事実だ。
ならばやはり、助けてくれたのが平嶋課長でよかったのか。
ぐるぐると頭の中で整理していると、平嶋課長の溜め息が私の耳をついた。
「まったく。誰かの怒鳴り声がすると思ったら、まさか久瀬だったとはな。驚いたよ」
髪をかきあげてネクタイを緩める仕草は、目を見張るほどの妖艶さだ。
「元彼なんだから、のこのこ着いて行ったらどういうことになるかくらい、分かりそうなものだけどな」
呆れたような口調に、私は少し苛立った。
「付き合ってた頃は、あんなに強引に自分を正当化して押し付けてくるような男じゃなかったんです」
どっちかといえば子供じみていて、すぐ私に頼るから、いつの間にか私が彼を支える母のように尽くしていたのだ。
あんな一面、見たこともない。
「そうか。別れてタガが外れるってことは、それだけ久瀬に未練があるってことなんだろうな」
「めちゃくちゃ迷惑です」
ははっ、と乾いたような笑いを漏らすと、平嶋課長は私を真っ直ぐに見た。
「やり方は間違っているが、それだけ愛されているってことなんじゃないのか?」
「本当に愛してるなら浮気なんてしません」
「他の女を見て真実に気付くこともあるかもしれない」
「他の女を見て抱いた時点で終わりです」
「それは久瀬の気持ちであって、吉澤はまだ整理ができていないだけかもしれないだろう?」
「…………」
さっきから一体なんなんだ。
平嶋課長の言い回しが妙に頭にくる。
「男と女の気持ちは同じじゃないだろう?女はスッパリと割り切るが、男は意外と女々しいもんなんだよ」
平嶋課長は和宏の復縁発言に対して、どれほど私が自分の気持ちを噛み砕いて無理だと伝えてきたかを知らない。
だから中立に立つのは仕方のないこと。
それはわかっているのだけれど。