ただいま冷徹上司を調・教・中!
二人に全てを打ち明け宣言し、変わることを心に決めてしまうと、心の霧が嘘のように晴れて明るくなった。

和宏と別れたら当面男なんていらないし、暫くは恋愛に対してちゃんと向き合えるように、自分なりの矯正が必要だろう。

前向きに行こうと決めて仕事に集中すると、恐ろしいまでに捗った。

定時前には目途がつき、外回りの営業マンたちも次々と戻ってき始める。

社内で和宏の姿を確認すると、私はこっそりとスマホを取り出し、彼にメッセージを送った。

『大事な話があるの。今日、時間作ってもらえない?』

送ったメッセージはすぐに読まれ、あっという間に返事が返ってきた。

『ごめん。今日はこのあと松田クリニックの医院長との会食なんだ。今度でいいかな?』

本当に会食なのかよ……。

昨日の今日とあって疑いもしたが、今となっては私には関係ないことだ。

このままメッセージで別れようと打てば終わるかも知れないけれど、やっぱり最後は綺麗に終わらせたい。

迷ったが、『今からちょっといい?』と送ってみた。

『いいけど。どうしたの?』

『休憩室に来て。一分ですむから』

定時前のこの時間に休憩室に入ってくる社員などめったにいないし、奥ばっているため話し声もフロアには絶対に聞こえない。
< 18 / 246 >

この作品をシェア

pagetop