ただいま冷徹上司を調・教・中!
営業に出ていた平嶋課長が戻ってきたのは、とても珍しい時間帯だった。
もうすぐ定時の18時。
その時間に平嶋課長がデスクに座るなんて。
「千尋さんと一緒に帰る気満々ですね」
小さな声で瑠衣ちゃんが囁いたが、朝と違って営業マンの殆どいないフロアでは、その小声も平嶋課長の耳に届いたようだ。
「安松……。聞こえてる。俺は別にそう言う意味で早く帰って来たわけじゃないぞ」
見透かされてバツの悪そうに眉を寄せる平嶋課長に、瑠衣ちゃんは可愛らしくペロリと舌を出しておどけてみせる。
「いつもと違う平嶋課長が面白いだけです」
「面白がるな。俺はただ久瀬の体調がまた悪化したら大変だと思って……」
「そりゃそうですけど、千尋さんが早く帰ればいいだけの話で、平嶋課長が一緒に帰る必要性ありますぅ?」
「それは……久瀬に任せると無理するから……」
「私達もいるんだから大丈夫ですよ」
「帰りとか……具合悪くなったりしたら……」
「平嶋課長は体調の悪くなった社員全員を送ってくれるんですか?じゃ、次は私もお願いします」
「お前は……」
言い返す言葉も尽きたのか。
平嶋課長はグッと言葉に詰まってしまった。
仕事のことに関しては恐ろしいくらいに頭の回る人だけれど、こういう話は苦手というか、できない人なんだった。
「瑠衣ちゃん。あまり課長を苛めないのよ」
「はぁい」
紗月さんの一声で瑠衣ちゃんは平嶋課長への尋問をやめたけれど、その横顔を見るととても楽しそうで、朝私に言ってくれた言葉を真実として受け止めそうになってしまった。
もうすぐ定時の18時。
その時間に平嶋課長がデスクに座るなんて。
「千尋さんと一緒に帰る気満々ですね」
小さな声で瑠衣ちゃんが囁いたが、朝と違って営業マンの殆どいないフロアでは、その小声も平嶋課長の耳に届いたようだ。
「安松……。聞こえてる。俺は別にそう言う意味で早く帰って来たわけじゃないぞ」
見透かされてバツの悪そうに眉を寄せる平嶋課長に、瑠衣ちゃんは可愛らしくペロリと舌を出しておどけてみせる。
「いつもと違う平嶋課長が面白いだけです」
「面白がるな。俺はただ久瀬の体調がまた悪化したら大変だと思って……」
「そりゃそうですけど、千尋さんが早く帰ればいいだけの話で、平嶋課長が一緒に帰る必要性ありますぅ?」
「それは……久瀬に任せると無理するから……」
「私達もいるんだから大丈夫ですよ」
「帰りとか……具合悪くなったりしたら……」
「平嶋課長は体調の悪くなった社員全員を送ってくれるんですか?じゃ、次は私もお願いします」
「お前は……」
言い返す言葉も尽きたのか。
平嶋課長はグッと言葉に詰まってしまった。
仕事のことに関しては恐ろしいくらいに頭の回る人だけれど、こういう話は苦手というか、できない人なんだった。
「瑠衣ちゃん。あまり課長を苛めないのよ」
「はぁい」
紗月さんの一声で瑠衣ちゃんは平嶋課長への尋問をやめたけれど、その横顔を見るととても楽しそうで、朝私に言ってくれた言葉を真実として受け止めそうになってしまった。