ただいま冷徹上司を調・教・中!
昨日の私は彼に会おうと急いでここから飛び出したというのに。

今日の私は一刻も早く彼を視界から消したくて仕方がないなんて。

たった一日でこうまで変化した自分の気持ちに笑ってしまう。

「用事はひとつだけ。別れてください。今、この瞬間から、あなたと私はただの同僚。それ以上でもそれ以下でもないから、以後そのつもりでお願いします」

スッパリとそう言い放つと、和宏は意味がわからないとでもいうかのように、目を丸くして口を開け放心した。

言わなければならないことを言ってしまえば、私の黒い感情も少しは薄くなってくる。

休憩室を出ようと和宏に背を向けたとき。

「なんでだよ……。いきなり一方的にそんなこと……意味がわからない」

小さく低い声を絞り出すように彼は呟いた。

なるほど、そういうことか。

全てを伝えないと彼はなにも悟れないということなのね、最後まで情けない男。

漏れた溜め息を隠しもせず、私は和宏に向かい合った。

「あなたが今言った言葉は、私も昨日の夜に思ったことだわ」

「……え?」

「気付いてないのなら教えてあげる。昨日、残業が早く終わったから私、あなたの家に行ったのよ。そこで私が体験したこと……言わなくてもわかるわよね?」

冷たい視線で和宏を見上げると、彼の顔色はもう、見たこともないほど真っ青だった。
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