ただいま冷徹上司を調・教・中!
彼との関係をキッパリと終わらせた私は、すっきりとした気持ちで席に戻った。

ほんの数分しか席を外してはいなかったが、その間にうちの課の営業マンたちはほとんど帰って来ていた。

私の正面の紗月さん、隣の瑠衣ちゃんは、私が勢いよく席を立った理由を何となく察しているのだろうか。

話の結果、どうなってしまったのだろうかと、二人とも心配そうにこちらを見ていた。

「無事終了しました」

二人だけに聞こえるように小さくそう告げると、紗月さんと瑠衣ちゃんは心底安心したように笑顔で頷いてくれた。

そう、全てリセットできたのだから、私だって今までと同じというわけにはいかない。

区切りを付けたからには、私だって良いほうに変わっていかなくちゃいけないんだ。

毎回毎回こんな結果になるのは、なにも相手の男だけのせいじゃないことくらい、本当はわかってる。

前向きに、強く、恐れず、自分の気持ちを大切に、後悔のない恋愛を探そう。

そう決めてしまえば心は軽くなり、残業だってなんのその。

帰って来てバタバタしている営業のフォローだって、積極的にこなしてしまうほどだ。

人間やっぱり切り替えが大切なのだとしみじみ思った。

紗月さんは保育園のお迎えがあるので、基本的に残業はしない。

けれどこの時期は年度初めで新入社員もいるので、時間ギリギリの三十分頑張ってくれた。
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