ただいま冷徹上司を調・教・中!
「ふさけんじゃないわよ……」

私の彼だったから興味を持って誘って裏切って……。

それで付き合う気もないからヤリ捨てなんて。

この女はいったい何がしたいんだ。

「ふざけてないわ。私は千尋のこと好きよ?今でも友達だと思ってる」

「友達?笑わせないでよ。こんなことしといて友達だなんて、よく言えるよね」

「だから違うんだって。大好きな千尋の彼氏だから、千尋は他の人にはない何かを見抜いて付き合ってるんだと思ってたの」

私の中の怒りが、梨央のこの一言で少しづつ沈下していく。

それもそのはず。

何かを見抜いたどころか……大した魅力も見いだせないままズルズルと二年半も付き合っていたのだから。

「傍から見てても吉澤さんの魅力なんてわからなかったし。付き合えばわかるかもしれないけど、そんなつもりも感情もないし。だったら寝ればわかるかなって思って」

梨央の言っていることはめちゃくちゃで、当然理解できるものではない。

なのにどうしてだろう。

なんとなく納得してしまいそうになっている。

「でもやっぱりわからなかったわ。頭は詰まってなさそうだし、誘えば形だけの拒否しかできない。セックスだって単調で自己中心的。ただのスポーツみたいだった」

そう、彼は押しに弱いし、先を見通すことができないし、セックスだって演技しないとイイ声なんて出ない。

「いくら私でも、アレは人のモノでも二度は欲情しないわぁ」

なんだろう……。

今までの自分が情けなくなってきた……。
< 28 / 246 >

この作品をシェア

pagetop