ただいま冷徹上司を調・教・中!



深い眠りから覚めてゆっくりと瞼を開くと、見慣れない天井が私を見下ろしていた。

焦ってベッドから飛び起きようと体を動かすと、襲ってきたのは激しい頭痛と微かな吐き気。

「うっわ……最悪……」

さすがに昨日は飲みすぎてしまったという自覚はある。

何度か紗月と瑠衣ちゃんに止められたというのに、昨夜は調子が良かったというか、悪かったというか。

身体がアルコールを欲し、どんどん吸収していった。

そして最後には……。

最後には……?

「……どうなったんだっけ……?」

飲み会の途中までの記憶は残っているけれど。

「思い出せない……」

そして思い出すのも恐ろしい……。

何せ狭い部屋に置いてある白くて硬いベッドの上で、下着姿のまま眠っていた自分の経緯なんて。

私は思わずベッドの上に突っ伏した。

「思い出せないなら思い出させてやろうか?」

「ひぇっ!」

聞き覚えのあるイイ声に、背筋が震えた。

ゆっくりゆっくりと身体を起こして顔を上げると、私は眩暈を起こしそうになってしまう。

「夢ですか……?」

無意識にそう呟くと……。

「俺はこんな夢を一緒になんて見たくもないぞ」

洗面所らしき所からそう言いながら出てきたのは、端正な顔を迷惑そうに歪めている平嶋課長、その人だった。
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