ただいま冷徹上司を調・教・中!
何たる失態を犯してしまったのだろうか。

いくら気分が最悪だったからといって、上司に迷惑をかけてしまうなんて。

……けれどそれがどうしてこんな状況を生み出してるんだろう。

私が倒れてしまったのなら、紗月さんか瑠衣ちゃんに託してくれればよかったのに。

「相田か安松に声を掛けようかとも思ったんだけどな」

「そうしていただいた方がよろしかったかと……」

「そうすると泥酔したお前を皆に晒すことになるし、何より植村にそんな姿を見られたくないだろうと思っての判断だったんだが……。余計なお世話だったか?」

……そうだった。

平嶋課長には聞かれたくもなかった梨央とのアレコレを聞かれていたんだった。

「お気遣いいただいて……ありがとうございます……」

みっともないことだけど、梨央に知られなかったことは本当に有難い。

あの場で潰れた私を見たならば、きっと傷心した私が紛らわすために飲み過ぎて潰れた、と解釈されるに違いないから。

「相田に久瀬の荷物もらってタクシーに乗せようとしたけど、考えたらお前の家なんて知らないんだよな。届けてももらえないから、このビジネスホテルに連れて来たってわけだ」

……平嶋課長、精一杯のお心遣い、痛み入ります。

「相田には久瀬の状況を説明せずに荷物もらったから、後でちゃんと説明しておけよ?」

「わかりました。でも課長。わざわざ朝まで一緒にいてもらわなくても、置いて帰ってもらえばよかったのに」

ポツリとそう言うと、平嶋課長はげんなりとした表情で私を見つめた。
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