TOO MUCH PAIN
「エイジは大丈夫、ちゃんと幸せになれるよ。あんなに両親に愛されて育ってきたんだもの。」


「そんなことねえよ・・・」


まだそんなことを言うのかと思って、ちゃんと鉄さんと話さないとダメだよって言ってあげると、わかったって何だか素直に答えてくれた。


きっとそのうち、親子のわだかまりも消えていくんだろう・・・それはあの子と付き合いだしたせいでもあるのかな?




「早く戻らないと、彼女心配しちゃうよ。」

そうだなって言いながら、私たちは立ち上がって、もと来た道を歩いた。


「でもさ、今後もきっとどっかで会っちゃうよね・・・
そのときはさ、もう本当の友達として会おうよ。」

「うん、わかった。」

エイジもぼんやりと返事をする。

最後に私達は、なんとなく手を繋いでいた。



「今度会うときは、もう逃げるなよ。」


そんな風にいって私の頭を小突くと、2人で最後に笑いあえる。



店の前まで来ると、私は何だか戻り辛くなっていて、ここで帰ると伝えた。

「じゃあ最後ぐらい奢ってよね。」

私達はそっと繋いだ手を離す。



「鉄さんやみんなによろしく言っといてね。」

私は手を振ってそのままエイジと別れた。




「元気でな!」


背中越しにエイジの声が聞こえて、まだ涙があふれてしまったけれども、



それは今までとは違っていて、何だかすべてが吹っ切れた幸せな涙のように思えていた。






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