戦国恋武
誰かに掌を思いっきり抓られ、布団から飛び上がる。掌を確認すると、抓られた所が赤くなっている。痛かったもんな~。
赤くなった部分を擦りながら、視線を上に上げると…ポカンと口を開けたまま固まっている数人の男の人達が少し離れた場所に、そして口元を隠して肩を震わせている女の人が私の真横にいるのが目に入る。
そこでふと気付いた。
目開けちゃった。
起き上がっちゃった。
いっ…って声出しちゃった。
どうしよう、これって寝たフリ続けてた方が絶対良かったやつだよね。絶対絶対、巻き込まれちゃうパターンだよね。
…あれ?
ちょっと待って。
何だかおかしい。
目を閉じてる間に繰り広げられていたのは確かヤーサンの落とし前イベントだったはず。ヤーサンって黒ずくめだったり、柄シャツだったりを想像していたのだが…目の前にいる男の人達はまるで時代劇で見るようなお侍さんの格好。隣の女の人は時代劇のお姫様のような格好なのだ。
そして視線を下げると、自分もお侍さんの寝巻きのような格好だった。
………うん、夢か。
さっき誰かに抓られて痛かった気がするけど、きっと気のせいだ。赤くなってた気がするけど、間違いなく気のせいだ。
これは夢です。
そういや、落とし前イベントどうなった?
また視線を上げてみると、固まっている男性陣の先頭に男の人が2人。1人は着物を下ろし、上半身は何も纏わず、お腹に小刀を当てたまま固まっている。もう1人は着物を片側だけ下ろし、片腕を出して、刀を振り上げて固まっている。
今にもイベントが実行されそうな光景である。
「何を固まっておるのじゃ?早くせぬか。」