完璧なんて存在しないんです。

「ほらー。みんな席につけー。HR始めるぞー。」





先生がいつものようにパンパンと手を叩いてみんなを座らせる。






「「「はぁい」」」






散らばっていた生徒が席に戻り静かになると






教卓に立った先生が口を開いた。








「今日は転入生が来ている。」





…転入生?



まぁこの時期だしおかしくはないなと思っていると、クラスのみんなから「えーっ!」という



声が上がり一気に騒がしくなった。






「ほら、静かに!赤羽。入ってこい。」





そう言って先生が声をかけると




教室のドアが空いて、1人の男子がすっと現れた。





……ごくん。



みんな一斉に生唾を飲み食い入るように彼を見る。






言葉で表せないくらい整った顔たち

透き通ったような綺麗な瞳

綺麗にセットされた茶髪

スタイルも抜群

彼はおとぎ話の中からでも出てきたのだろうか。







「じゃあ赤羽、自己紹介を頼む。」







「はい。…赤羽 月咲です。よろしくね?」




そう言って彼はふわっと微笑んだ。





…こんな展開漫画でしか見たことない。






ほんとにいるんだこんな美形な人





彼はまさに“王子様”だった。





他の女子の口からも「王子様…」という声が出てきた。





それもそのはず、それに等しい。いや、それ以上の輝きがあった。





「えー。赤羽の席は七瀬の隣な。七瀬手あげろー。」




かっこよすぎだ…



もう罪レベルだよ…月咲くん…




「七瀬!」



……!?


急に先生に呼ばれ驚きながら手を挙げた。




「あ、はい!」





「ふぅ…ほらあいつの横だ。座れ。」





あんなにかっこいい人が私の隣なんて…






「おい。柚姫。お前どうした。さっきからずっと放心状態だぞ?」





…えっ。そんなに見とれてたかな。



気をつけよう。




「あっ、ううん。なんでもないの!」





「ふぅん。ならいいけど。」





< 10 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop