完璧なんて存在しないんです。
「血、が、ほし、い」






月咲くんやめて!



そう叫びたくても体が石のようになって動かない





私は意を決してギュッと目を瞑った







カプッ







「ぃ、あ、あぁ、んん」







痛い。変な感じ…血を、吸われてる?







「はぁ、あぁ、あ、んん。」







頭がふわふわする。気持ちいい。







あっ、い、しき、が…






ピタッ






「あ、あ…ゆ、ずき?」







あ、月咲くんだ。




目の色戻ってる






「つ、かさ、く、ん」







「…柚姫!?柚姫!俺…」







どうしたの月咲くん?







「だ、い、じょう、ぶ?」







「柚姫!俺…な、にし、た?…」







「あ、あ、あ、俺…」






そんな顔しないでよ…



私は大丈夫。






「つか、さく、んわ、たしは、大丈夫。」








「ごめん。ごめんね。柚姫!俺…」







そう言って月咲くんはばっと立ち上がる。







「つ、つか、さくん?」






どうしたのかな。






「ごめん。ごめん柚姫。翼にはここに迎えに来てもらうように連絡しておくから」






月咲くん…?






「やっぱり俺はひとりじゃなきゃダメなんだよ。

友達も作っちゃダメなんだ。

1人でいなきゃ。1人でいないと…傷つける。」





何を言ってるの……月咲くん?


月咲くんは私に言い聞かせながらも自分と会話しているように見えた。





「柚姫。ほんとにごめん…じゃあ元気でね?」




……月咲くん?


元気でってどういうこと?


なんでそんなに悲しそうに笑うの?


月咲くんは何を考えてるの?


教えてよ。




「つ、かさ、くん?どこに、いく、の?」






私がそう言うと月咲くんは困ったように微笑んで





「柚姫の知らないとこ。さよならだよ。柚姫。」





……どういうこと?


私の知らないとこ?


さよならってどういう意味?


私の頭の中に疑問だけが募っていく。





「柚姫。俺と友達になってくれて

俺に人を信じさせてくれて

俺に笑いかけてくれてありがとう。

傷つけてごめん。こんな終わり方でごめん。」




月咲くんは悲しそうに微笑む。


そんなお別れみたいな言い方へんだよ?


明日も会えるんだよ?


これから楽しいこといっぱいするんだよ?


笑いかけてくれてなんて…当たり前だよ?





「つか、さくん。これ、から、もとも、だちだよ?」






「ふふ。柚姫。もう終わりだ。俺と柚姫は友達じゃない。

もちろん。翼となっちゃんとも。」




え…


私の目からはとめどなく涙がこぼれる。


なんで?なんで。友達だよ?


これから4人でたくさん思い出作るんだもん。




「なん、でそんなこと言うの?ともだ、ちだ、よ!」




「柚姫…さよならだ。」





ゴゴゴゴゴゴッ




月咲くんがそう言った瞬間辺りに強い風が吹き始める。




「きゃっ」





「柚姫…ありがとう。大好きだよ。」





ゴゴゴゴゴゴッ



ゴゴゴゴゴゴッ




「月咲くん!」





風がよりいっそう強くなり月咲くんはいなくなっていた。
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