浅葱色が愛した嘘
…………!?!?
不意に沖田が外にいる何かの気配を感じた。
桔梗を起こさないようにそっと刀を手に取り、縁側の襖をゆっくりと開ける。
まだ外には月がかかっている。
満月ではないはずなのに、
確かに月は欠けているのに、
恐ろしい程、赤く染まっているその月は何かの前触れでもあるのだろうか。
『血塗られた運命を生きる妖。
美しきその姿に酔いしれ、溺れゆくは幻。
傷を癒す術は
______愛か……。
それとも修羅の血か……』
どこからともなく聞こえてくる男の声。
気配はするのに、居場所が分からない。
『誰だ!どこにいる。』
沖田は殺気を放ち、辺りを警戒した。
『刀を収めよ。
新撰組一番隊隊長、沖田総司。
俺は弱い奴には興味はない。』
低い声。
風が吹き荒れ、視界を邪魔する。
狙いは桔梗だと、なぜか分かっていた。
落ち着け。集中しろ。
目に見えないのなら心で感じればいい。
全神経を集中さえ、
沖田は勢いよく振り返り、真後ろにいるであろう何かを斬った。