浅葱色が愛した嘘
ドタドタドタドタ…
スパーンッ!!
『_____総司!!』
今朝の話を耳にした桔梗は起きた別室で治療を受けている沖田の所へやってきた。
夜明け前、誰かに斬られたと…
それも新撰組の屯所の中…
なぜ、誰も気づかなかったのか。
なぜ、最も一番近くにいた私が気づけなかったのか。
桔梗は混乱していた。
『落ち着け、桔梗。
大丈夫だ。
今は薬が効いて眠ってる。
傷も深くねぇし、一週間もすれば治るだろう。』
仕事を放置し、ずっと沖田のそばにいた土方は桔梗を安心させるように微笑んだ。
『けんど一体、誰が沖田さんを斬ったんや…』
同じくその場にいた山崎は怒りで握った拳が震えている。
『総司がさっき言ってたんだけどな…』
土方は口を開くと少し険しい顔をした。
『ちょ!土方さん!
それは沖田さんが言うなって言ってたやないかい!』
言いかけた土方の言葉を遮るかのように山崎は少し大きな声をだす。
『………何の話だ?』
沖田が桔梗に口止めをする程の話。
それはきっと自分に関係しているのだと、すぐにわかった。
『話してくれ。
私の関係しているのなら尚更だ。』
守らなければいけない。
総司だけは。
絶対に。