浅葱色が愛した嘘
桔梗の目つきが変わった。
鋭い殺気。
怒りの現れでもある。
土方は(落ち着いて聞けよ。)
と、言うと沖田がこうして眠る前に、自分たちに話してきた事をそのまま桔梗に伝えた。
『見たこともねぇ、男だったらしい。
そいつが満月の夜、千年桜でお前を待ってると伝えろと言ってきたんだとよ。
総司ですらあっさり斬られた。
相手は相当な強者だ。
桔梗…なにか心当たりはないか?』
満月の夜。
その日は、桂たちが動き出す日のはずだ。
それは島原で手に入れた長州の動き。
なにか関係しているのか?
それに…千年桜……。
春夏秋冬、血を吸い年中枯れる事のない修羅の桜。
人間は恐ろしさのあまり、その場所へはまず近寄らない。
誰が、なんのために。
桔梗は分からなかった。