浅葱色が愛した嘘
それから一週間が過ぎた。
沖田の体は驚く程の早さで回復し、今では稽古にも参加している。
傷口があまり深くなかったため、
身体にそれほどの支障はなかった。
『総司、そろそろ休め。
まだ治ったばっかりなんだ。
少しは安静にしてろ。』
あの日以来、沖田は自分自身の稽古に力を入れている。
隊士たちの指示は桔梗の任せっきりで、沖田はひたすら剣の腕を磨き上げようとしていた。
桔梗はそんな沖田を心配していた。
『そんな不安そうな顔をしなくても僕は大丈夫だよ。
あと少しだけ____』
そう言ってまた刀を構え、素振りを始める。
さっきから、あと少しと言う言葉を何回聞いた事か。
それでも沖田は刀を離そうとはしなかった。
もっと強くならなきゃいけない。
もっと、もっと。
今のままじゃ桔梗を守れない。
あの日、男にあっさりと負けた自分を、沖田は悔いていた。
刀には自信があり、戦場で負けた事なんてなかった。
それが…あんな一瞬で。
相手はわざと傷を浅くした事も、
情けをかけた事も、
全てが悔しかった。
_____桔梗は絶対に渡さない。
その事だけが沖田を強くする術だった。