浅葱色が愛した嘘
少女の名は桔梗(ききょう)
腰まである真っ直ぐ伸びた綺麗な髪は柔らかな風によくなびいていた。
そして彼女の瞳の色は深い深い群青色。
昨夜の赤い色がまるで嘘のような
淡く美しい瞳だった。
「ここか____」
桔梗はとある屋敷の門の前に立っていた。
そこには(新撰組屯所)と書かれた札が掲げられている。
どうやって忍び込もうかと悩んでいた最中___
「貴様、ここで何をしている。」
自分の首元に冷んやりとした鋭く光る刃が突き立てられた。
まかさ…ここまで唐突に刀を向けられるとは。
桔梗は大きなため息をこぼした。
「返してほしい物がある。
副長である土方とやらに会わせてほしい。
争う気などない。
この刀を鞘に収めてはくれないか?」
桔梗は向けられた刃を素手で弾いた。