浅葱色が愛した嘘
『そんな…きっと何かの間違いだ!
僕が今から探します!
桔梗が脱走なんかする訳がない!』
沖田は今の状況を決して受け入れようとはしない。
『確信でもあるのか?』
それに引き換え土方の目は鋭く冷たい目をしている。
総司に気づかれるな。
演じろ、例えコイツに恨まれたとしても、桔梗との最後の約束のために、俺は鬼にでも悪魔にでもなってやるよ。
土方だって必死だった。
『総司、澄朔を探しに行くと言ったな?
だったらお前が見つけ次第、澄朔の首を取れ。
それが出来ないのなら、隊を離れる事はこの俺が許さない。』
本当の事を伝えてやりてぇ。
でも総司…それは出来ねぇんだ。
探す事はしねぇよ。
だから見つける事もない。
そのまま時が流れ、お前は桔梗を忘れていくんだ。
それぞれの思いが交差する。
何も知らない沖田と、
全てを知っている土方と山崎。
沖田は震える拳を強く握り、
勢いよく副長室を飛び出していった。