浅葱色が愛した嘘
『……総司!!!!!』
『やめろ!原田!
追いかける必死なんかねぇ!』
『でもよぉ、ぱっつぁん!
このままだと、総司はいつか澄朔を恨んじまう!
裏切られたって勘違いしちまう!』
原田も、原田を止めた永倉も、みんな辛かった。
『真実は総司と幹部以外の人間には絶対に内密にしなくちゃいけない。
追いかけた所でかけてやれる言葉なんかない。
俺たちだって同じ事をしてるんだ。』
藤堂の言っている事は正しかった。
それ以外にも、近藤や斎藤、山南も
桔梗が姿を消した本当の理由を知っていた。
土方は幹部の人間に話す事によって新撰組をより桔梗から遠ざけやすいと考えたからだ。
無論、幹部内で知らないのは沖田だけ。
『時が解決してくれるのを待ちましょう。』
斎藤はゆっくりと立ち上がり、
『やはり心配なので少し様子を見てきますね。』
と言って立ち上がった。
それに続くように、
原田、永倉、藤堂、山南も続けて副長室を後にした。