浅葱色が愛した嘘
『トシ…
総司は本当に大丈夫なのか?』
『近藤さんが心配することじゃねぇよ。
俺が桔梗を行かせたんだ。
俺が止められなかった。
総司の事だってこうなる事は目に見えてたさ。』
土方は澄み渡る綺麗な青空を仰ぎ、煙管に火をつけた。
不思議だなぁ、桔梗。
もう二度と会えないはずなのに、まだ俺は実感が湧かねぇ。
いつの間にか、お前の存在は新撰組にとってかなり大きいものになってたんだな。
どこか遠くを見つめる土方を山崎は心配していた。
『ほいで、土方さん…
これからはどないすんねん。』
彼は天井裏で全てを聞いていた。
桔梗の本心を土方と一緒で知っている。
『正直、どうする事も出来ねぇよ。
だから時間に解決してもらうしかねぇんだ。』
もうすぐ冬が訪れる。
木々の葉は少しずつ落ち始め
まるで桔梗と沖田の心を映しているかのようだった。