浅葱色が愛した嘘
追憶
極端に力が暴走する事はないが、
血が身体中を駆け巡りザワザワとする感覚には何度も襲われた。
その度に色んな恐怖が頭に浮かぶ。
私が居なくなった後、この子は一体誰に守られ、誰に愛されるのか_________
半妖であり人の血が混じっている以上、人間として育てたい。
一度ぐらい…
私が正気でいられるうちに会わせてやろうか。
本当は会わせるつもりなどなかったが…
不思議と考えは変わるものだな。
やっぱりこの子の父親は総司しかいない。
何も知らない彼に会わせたら
きっと驚くだろう。
何も言わずに姿を消した私に会えば
きっと私を責めるだろう。
でもこの子のため………
『生桜?
桜の花が咲いたころ、私と一緒に父上に会いに行こうか。』
桔梗は優しく我が子の頭を撫でた。
『本当に??行きたい!!』
小さな少女はその言葉に胸を踊らせ、雪の中を舞った。