浅葱色が愛した嘘

追憶







極端に力が暴走する事はないが、


血が身体中を駆け巡りザワザワとする感覚には何度も襲われた。


その度に色んな恐怖が頭に浮かぶ。


私が居なくなった後、この子は一体誰に守られ、誰に愛されるのか_________


半妖であり人の血が混じっている以上、人間として育てたい。


一度ぐらい…

私が正気でいられるうちに会わせてやろうか。



本当は会わせるつもりなどなかったが…




不思議と考えは変わるものだな。



やっぱりこの子の父親は総司しかいない。





何も知らない彼に会わせたら

きっと驚くだろう。


何も言わずに姿を消した私に会えば

きっと私を責めるだろう。



でもこの子のため………





『生桜?



桜の花が咲いたころ、私と一緒に父上に会いに行こうか。』





桔梗は優しく我が子の頭を撫でた。




『本当に??行きたい!!』





小さな少女はその言葉に胸を踊らせ、雪の中を舞った。




< 211 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop