浅葱色が愛した嘘
それからまた月日は流れ、
桜の蕾が目立ち始めた春への入り口。
新撰組は三年前とは変わっていなかった。
『そーうじぃ~。
頼むよぉ~俺腹減ってんだよぉ~
その団子分けてくれよぉ~』
『原田さん、そろそろウザい。
このお団子みたいに串刺しになりたいの?』
『ちょ、原田もうやめとけ!
目が本気だって!まぢで殺られるって!
おい、ぱっつぁんも止めろって!』
『いいんじゃないの、
平助もそこにいたら一緒に串刺しだよ?』
昔と変わらず、原田、藤堂、永倉はいつも一緒にいた。
その横で沖田は涼しい顔をしながら団子を口へと頬張る。
『てぇらぁぁ!!
今日は非番じゃねぇだろ!
サボってねぇで仕事しろ!』
そこに今度は土方の怒鳴り声が混ざり、
いつも他所から見れば賑やかだった。
『鬼がきたー!
逃げるぞー!!』
『てめぇ、原田!!
切腹しろー!』
土方から逃げるように、原田たちはどこかへと走り去っていった。
なぜか沖田も無理やり羽織を引っ張られ連れられていく。
『ったく、めんどくせぇ奴らだぜ。』
土方はその場でため息をこぼす。
『相変わらず大変やな、土方さんは』
ピョコりと床下から山崎が顔を出した。
さすがは監察方。
忍らしい隠れ方だ。
『全く、あいつらが幹部の人間だって信じられねぇよ。』
『せやなぁ~
でもやる時はちゃんとやるからええやろ。
ん~はぁ。
もう三年も経つんやな。』
背筋を伸ばしながら
山崎はポツリとつぶやいた。
桔梗が居なくなって三年。
なにも変わっていないように見えて、大きく変わった。