浅葱色が愛した嘘
『土方さん、早かったな。』
………!?!?!?
どこからか聞こえる女の声。
あぁ、俺はこの声を知っている。
この声を俺は未だに忘れてはいない。
『桔梗か……?』
土方の声は震えていた。
『久しぶりだな。
もうあれから三年が経った。
忘れられたかと思ったよ。』
桔梗の声は土方の真後ろから聞こえている。
しかし、土方は振り向けずにいた。
なんの前触れもなく、再会の時は訪れ、
かつて愛し、どこかへ行ってしまった事を止められなかったあの日……
今の桔梗はどんな姿をしているのだろうか……
『土方さん、私は桔梗だ。』
桔梗は全てを分かっているかのように、
優しく土方にそう言った。