浅葱色が愛した嘘
桔梗は、少し悲しそうに…だけど柔らかな笑みを浮かべた。
『土方さんに頼みたい事があった。』
『頼みたい事……?』
桔梗はコクリと頷くと、
『生桜______』
土方が聞いたことのない名前を桔梗は口にした。
『生桜…?
そいつは一体だれ…だ…?』
そう土方が言いかけた時、
千年桜の木の後ろから、小さな女の子がゆっくりと顔を出した。
『おいで、生桜?
挨拶をしなさい。』
桔梗は一つ変わった所があった。
それは口調が昔に比べ穏やかになった事。
母親のように、優しくおおらかな話し方。
桔梗はこちらに歩いてきた少女の頭を優しく撫でた。
『この子が私と総司の子どもだ。』
桔梗は自分の後ろに隠れるようにしていた生桜を土方の方へとやった。
『こんにちは』
幼い少女は桔梗の群青色の瞳と、美しい肌を受け継ぎ、
沖田の面影も映していた。
『これがお前らの子どもって…
たった三年でこんなに大きくなるのか?』
土方はそういうのは無理がなかった。
本来ならば言葉もまともに話せない、年頃だ。
『この子は私の血が入ってる。
人間に比べ、三年間もの間は成長が早いんだよ。』
その言葉に土方は納得ができた。