浅葱色が愛した嘘
『とりあえず、俺は総司に話しつけてくるわ。』
土方は既に心を切り替えたかのように、ガバッと立ち上がる。
山崎は何も言わず土方に一礼すると、スッとどのかへ消えていった。
さて…何て伝えようか。
頭で考えるよりも先に、その足取りは沖田の自室へと向かっていた。
スパーンッ!!!
『総司、いるか?』
土方は沖田の自室の前に立つなり、そのまま勢いよく襖を開けた。
そこには畳の上で肘をつき、横になる沖田の姿。
『土方さん、見れば分かるでしょ。
僕はここに居ますよ。
しかも普通、一声かけてから開けますよね?
今の順番間違えてます。』
『んなこたぁ、知るか。
それよりお前に話がある。』
何ですか。っと、沖田は重そうに体を起こし土方の方を向いた。
すると自然に土方と沖田の視線がぶつかる。
沖田の目は乾ききっていた。
冷たく、目の前の土方すら映してはいない。
桔梗…これがお前が残した傷跡だ。
どうか、総司の心を取り戻してやってくれ……。
土方はそんな願いを込めた。