浅葱色が愛した嘘
『全く…酷い人だ。』
残された沖田は独り部屋の中で心の中で溢れ出てくる何かを必死に押さえ込んでいた。
土方さんだって分かってるくせに…
あの場所を初めて訪れた理由は桔梗がそこに居たから。
俺にとってはその思い出しか残っていない。
もう三年も経つのに……
まだ桔梗との思い出は何一つ色褪せていない。
(私には帰る場所がある。
総司…貴方がいれば私は何だって出来る。)
桔梗の声だって、桔梗の匂いだって、
桔梗の笑顔だって、俺は何一つ欠ける事なく覚えいる。
どうして、こんなにも消えないんだ…
どしうて、こんなにも覚えている…
せっかく忘れたように振舞っていたのに……
どこかで生きてたりするのかな?
どこかで他の誰かと幸せに暮らしてたりするのかな?
考えたらキリがないくらい。
桔梗、まだ俺は君を愛しているよ____。
目がだんだんと熱くなり、そこから溢れでる(何か)を沖田は堪えきれず静か独り…流し続けた。