浅葱色が愛した嘘
沖田は腰に刀をこしらえ、
あまり見慣れない道のりをただひたすら黙々と歩いていく。
暗闇の森てさえ、満月の月明かりがはっきりと道しるべを照らしだす。
この道を通ったのも、三年ぶりだった。
それと同時に昔の記憶が鮮明に蘇る。
異様に輝く千年桜。
なぜこんなにもこの木は圧倒的な存在があるのだろう。
沖田はその木に吸い寄せられるように歩み寄った。
『あの頃と何も変わってないな…
まるであの日に戻ったみたいだ。』
沖田は一人、立ち尽くした。
不意に冷たい風が吹き荒れる___。
激しく舞う桜の花びらの中、
沖田は誰かの影を見つけた。
『誰だ!』
沖田はとっさに刀を構える。
影は見えるのに、気配は感じられない。
花びらと霧に遮られ、視界があまりよくなかった。
警戒しながら、少しずつその影に近づいていく。
しかし、殺気は感じられなかった。
近づくにつれ、だんだんと影の正体が見えてきた。
『……子ども?』
影の正体は七つぐらいの小さな女の子だった。
しかし…
(…!?!?!?)
沖田はある事に気がつく。
美しく輝く白い肌。
見覚えのある群青色の瞳。
それはまさしく、
愛し続け、探し続けた桔梗の面影だった。