浅葱色が愛した嘘
『こんにちわ!』
幼い少女は沖田に笑顔を向けた。
それに少々、沖田は戸惑う。
『………君は誰?
どうしてこんな所にいるの?』
こんなにも幼い女の子が、
大人も恐れ、近づかないこの千年桜の地に一人でいる事が不思議だった。
『どうして?
それはね…っ!『生桜……!』
どこからともなく、その少女の名であろう、名前を呼び、
少女の言葉を遮るように声が聞こえてきた。
『あっ!母上!』
少女は嬉しいそうに振り返り声の元へ駆け出す。
また、だんだんと一つの影が見えてきた。
(まさか……そんな……)
沖田の本能が悟った。
『き…きょう?』
『総司、久しぶりだな。』
そこには桜の花びらを羽衣のように身にまとう桔梗の姿。
会いたくて、会いたくて、たまらなかった最愛の女_____。
それが今、自分の目の前に姿を現した。