浅葱色が愛した嘘
今まで一緒に過ごせなかった三年間を必死で埋めるように、
二人は体を重ね唇を合わせた。
月日とは残酷なもので、
沖田に与えられた三日など、本当に一瞬で過ぎていった。
このまま、時が止まればいいのに…と。
二人が共に過ごす最後の夜、
沖田は我が子と妻の寝顔を交互に何度も眺めた。
まるでその目に刻み込むように________
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千年桜は今日も美しく、可憐に咲き誇る。
再会を祝し、別れを惜しむように…
『父上…もうお別れなの?』
沖田が屯所へ戻るため空き家を出た際、
生桜は沖田の顔を見上げ、悲しそうに目を伏せた。
桔梗は困ったように笑い、
(また、いつでも会えるよ。)
と、優しく頭を撫でる。
『総司…
また非番の日にでも来てくれ。
私たちはいつでもここにいるから。』
桔梗は柔らかな笑みを浮かべ微笑んだ。
これが最後じゃない。
もう、会おうと思えば会える。
少しずつ、離れていた時間を取り戻していけばいい。
いつかは必ず三人で暮らせる日が来ると信じて……
『また会いにくるから待ってて。
生桜。
お母さんの言う事をちゃんと聞いていい子にしててね?』
沖田はもう父親の顔をしていた。
沖田はその場を後にする際、
何度も何度も後ろ振り返り手を振る。
桔梗はそれがなぜかおかしくて、
愛おしくて、沖田の背中が見えなくなるまでその姿を見送り続けた。