浅葱色が愛した嘘
終焉
沖田が屯所に戻ってきた頃には太陽はだんだんと沈み始めていた。
そして、帰ってきた足取りで沖田はそのまま副長室を訪れた。
『ご苦労だったな、総司。
何も異常はなかったか?』
あくまでも土方は隊務の一つとして、沖田を千年桜に送り込んだ。
土方は表情を変える事なく、沖田に視線を向ける。
『はい。異常ありませんでした。
土方さん…
本当にありがとうございました。』
沖田は深々と頭を下げた。
心をちゃんと取り戻した沖田の姿を見て土方は安心した。
その瞳に冷たさはなく、光が宿っている。
『そんな頭なんか下げんじゃねぇよ。
気持ち悪りぃ…
まぁ、もう二度と同じ過ちは繰り返すな。
これ以上、俺は面倒見きれねぇからな。
分かったか?』
『はい。』
上司と部下であり、最大の友でもある彼らの絆はどこよりも深い。
沖田は生きる意味を、希望を、これからの道をはっきりと見つけていた。