浅葱色が愛した嘘
それからと言うものの、
この日を境に沖田は変わった。
『原田さん、このお饅頭あげます。』
廊下ですれちがった原田を呼び止め、懐から甘味屋で買った菓子を取り出しそれを渡した。
『え?あ?ん?お?
あ、ありがとよ…』
いつもなら絶対に甘味を譲る事などありえない沖田が自ら渡してくるなど、
原田にとっては逆に怖かった。
『おい、あれ…本当に総司か?』
藤堂はその光景を目の前で目にし、ポカーンと立ち尽くす。
『どう見ても見た目は総司だろ…
頭でも打ったか?流行りの病か?』
永倉は酷い言いようだ。
毒でも入っていないかと、
恐る恐る饅頭を口にする原田だったが、そんな事とは逆に
口の中には甘さが一面に広がった。
『うめぇ。
どうしよ…俺、泣きそう。』
それからこの三人は大声で発狂しながら、廊下を駆け回った。
その途中、土方の雷が落ちた事は言うまでもない_____