浅葱色が愛した嘘






甘味やからの帰り際、


沖田と土方は町の人間の妙な会話を耳にした。



『やはりあの予言は誠だったか____。』





『恐ろしいのぉ。

(血の満月が幾夜も続く事あれば、妖狐の力が目覚める。)


巫女様の言ってた通りだ。』





満月_____?



妖狐_____?





そういえば最近、血塗られたような満月が数日に渡って続いていた。

気味が悪いとは思っていたが、桔梗の事と何か関係があるのか…。







『その話、詳しく聞かせて下さい。』



沖田は村人に声をかけた。




突然の事、村人は戸惑いを見せたが


数日前、旅をしている巫女からある予言を聞いたという。






『その巫女様が満月が続けば妖狐が村を襲うとおっしゃった。



そして、それは千年桜にいると___。

あの場所を不気味に思って近づく者など居ないが、
妖の住処だったとはな…


今頃、ここら辺の男たちは千年桜に向かってその妖狐を退治しに行っている。

幕府の人間も動いていると聞いた。』






………!?!?!?


千年桜____?






そこは桔梗と生桜がいる場所。



間違いない。

巫女が予言した妖狐は桔梗だ。




空を見上げれば、太陽は隠れ

恐ろしい程の満月が顔をだしていた。


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