浅葱色が愛した嘘
「刀?そりゃぁ一体、なんの話だ?」
「とぼけるな。
お前たちが持っている事は分かっている。」
桔梗は睨むようにして土方を見た。
その場に居た斎藤は桔梗の言葉が気に入らなかったのか
刀に手をかけ、その様子をうかがっている。
「威勢のいい女は嫌いじゃないが、度がすぎるのも気分がいいもんじゃねぇ。
女だからって調子に乗るな。斬るぞ?」
殺気。
土方から溢れるように漂う殺気はまるで人間とは思えない。
「ふっ」
「てめぇ、何がおかしい。」
「いや。すまない。
だが、その刀は私の物だ。
お前達は持ち主に返してもくれないのか?」
桔梗は至って冷静だった。
この女___気味が悪りぃ。
殺気を放って睨み付けても表情一つ変えやしねぇ。
しかもあの目。
まるで全てを知ってるみたいだ。
まぁ、いい。
「あるっちゃあるぜ?
でもな、鞘から抜けない刀なんざ取り返しにきて何になる?」
「お前に抜けないからと言ってなぜ私にも抜けないと決めつけるんだ?」
桔梗は言い切った。
(私なら抜ける)___と。