誓約の成約要件は機密事項です
何かの勘違いじゃないだろうか。例えば、仕事の相談相手を探しているだとか。
そう考えれば、納得もできる。
「ええと……何かお聞き違えをされたのでは? 私は、自分の結婚相手を探しているんですが」
オブラートに包んでも仕方ないと、きっぱりと伝えてみる。
「分かっている」
涼磨の目に迷いはない。
「……」
「……」
今度こそ本当に冷や汗が伝い、こめかみを指でぬぐった。
その指を、おしぼりでしつこくぬぐいながら、必死で考えを巡らす。
涼磨が、千帆の結婚相手に立候補したと言っている……。
そういうことで、いいのだろうか。
到底信じられるはずがない。
そもそも千帆は、涼磨がこの会社にやって来たから、婚活を考え始めたのだ。
思えば、那央の言った一言がきっかけだったかもしれない。ちょっと愛想は足りないけれど、社会的な地位も見た目も財産もあり、性格的にも問題なさそうな涼磨は、“最上級品”。あんなのを毎日目にしていたら、男を見る基準が高くなって困る――。
那央が茶化していたその一言は、千帆に深く突き刺さった。
そう考えれば、納得もできる。
「ええと……何かお聞き違えをされたのでは? 私は、自分の結婚相手を探しているんですが」
オブラートに包んでも仕方ないと、きっぱりと伝えてみる。
「分かっている」
涼磨の目に迷いはない。
「……」
「……」
今度こそ本当に冷や汗が伝い、こめかみを指でぬぐった。
その指を、おしぼりでしつこくぬぐいながら、必死で考えを巡らす。
涼磨が、千帆の結婚相手に立候補したと言っている……。
そういうことで、いいのだろうか。
到底信じられるはずがない。
そもそも千帆は、涼磨がこの会社にやって来たから、婚活を考え始めたのだ。
思えば、那央の言った一言がきっかけだったかもしれない。ちょっと愛想は足りないけれど、社会的な地位も見た目も財産もあり、性格的にも問題なさそうな涼磨は、“最上級品”。あんなのを毎日目にしていたら、男を見る基準が高くなって困る――。
那央が茶化していたその一言は、千帆に深く突き刺さった。