誓約の成約要件は機密事項です
「学歴は、こだわりません。煙草は、吸わない方がいいです。ギャンブルも困ります。あとは、真面目そうな……もっというと、もてなそうな人の方が安心できます。私も、こんなふうに地味ですし。趣味は……理解できるものだといいのですが」

パッと思い出しただけでも、結構ある。結婚相談所では、もっと聞かれた気がするが、大きなものは、これくらいだろう。

「これくらいでしょうか」

たくさん話したことに満足して、千帆はウーロン茶を飲み干した。

「なるほど。一つ一つ回答しよう」

「え」

呆気に取られる千帆に構うことなく、涼磨はとうとうと語り出した。

「まず、誠実さと優しさについては、自分で答えるものじゃないだろう。しかし、自分なりには、あると考えている。僕はどのステークホルダーに対しても、不義理をしないし、最善を尽くしているつもりだ」

ステークホルダーって……と千帆は、首を傾げる。

やはり、仕事の契約でもするつもりなのだろうか。

「交際している女性がいる間は、他の女性に目を向けないし、彼女にとって最も誠実で優しい男でありたいと思っている」

一応、恋愛の話だったようだ。
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