誓約の成約要件は機密事項です
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休日出勤の予約

翌日、結局病院には行かずに千帆が仕事をしていると、課長が声をかけてきた。

「相澤さん、もし土曜日に出勤してほしいと言ったら、できそう？」

「はい、大丈夫です」

「助かるよ。もしかしたら、お願いすることになるかもしれないから、空けておいてもらってもいい？」

「分かりました」

滅多にないことではあるが、休日出勤は初めてではない。

残念ながら、予定はなかった。結婚相談所から、面談の申込が来るのではないかと予定を空けておいたのだが、音沙汰がない。

昼になり、那央に誘われて、会社から少し離れたビストロへ行った。普段節約している分、たまのレストランランチは、心が弾む。

「良かった。ちゃんと食べてるわね」

「え？」

トロトロのグラタンを夢中で食べていた千帆に、那央は憂いを帯びた笑みを浮かべた。

「今日、ちょっと元気なかったでしょ」

「えっ！　すみません」

「謝ることなんてないのよ。何かあった？」

那央に心配されているとは、思いもしなかった。

ただ、自分でも少しもやもやとした気分を抱えている自覚はあった。

恋愛経験豊富で、千帆の事情も知っている那央は、相談相手にうってつけだろう。どう話せば良いのか迷いながらも、千帆は那央に打ち明けることに決めた。
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